ミントとパキスタン

バックパッカーの落し物

mint

ミントとパキスタン僕の務めている会社では朝の10時に10分の休憩タイムがある。
僕はいつも日光浴をするために会社の敷地内にある庭に出て太陽を浴びる。


庭にはバラとキンモクセイが咲いている。
台湾はもう春に向かっている。
僕はふと足元にあるミントに目を留めた。
ミントには良い思い出がある。


約10年前バックを背負って海外を放浪していた。
当時付き合っている彼女とアジア大陸を横断していてインド国境を超えてパキスタンに入った時のこと。


僕達の目的はパキスタン北部にある「フンザ」に行くことだった。
フンザは「風の谷のナウシカ」の舞台になった土地だと旅行者の間で言われていて僕達はひたすらそのフンザを目指した。


インド国境を超えてからはずっとバスに乗っていた。
夜行バスを何度も乗り継いでいたのだ。


元々僕は乗り物酔いが酷い。
その上パキスタン北部は山間部になっていて「フンザ」に近づけば近づくほど道が悪くバスは揺れた。


バスが休憩地点で停まる度に僕はバスから離れて胃液を吐いていた。(食事中の方申し訳ない)
パキスタン人は信仰が深くて一日に何度もお祈りの時間があってその度にバスが止まり、乗客は皆降りて祈りをしていた。
僕はその光景を横目で見ながら胃の中のモノを戻していた。


バスで移動中、夜になり、バスはガソリンスタンドらしき場所に止まった。
旅行者はこの時間を利用して食事を始める。ガソリンスタンド付近には簡素な屋台が並んでいる。


僕達は屋台のカウンターに座り食事を取ろうとしたが、僕は吐きすぎて食欲がない。
僕は多分青白い顔をしていたのだと思う。
そんな僕を見かけた屋台のオヤジさんが、大きい器に盛ってある草を銀皿に載せて塩をふりかけて僕の前に置いた。
オヤジさんは簡単な英語で「それを食べたら元気になるよ」と一言。


僕は訝しげにその草を口の中に入れてみた。
口の中はまだ胃液の味が残っていたが、草の味と塩が口の中を爽やかにしてくれた。
草はミントだったのだ。塩がミントの爽やかさをさらに引き立ててくれる。


フンザに着いて宿のご主人が教えてくれた話では、パキスタン人が旅人に優しいのは理由があるのだとか。
彼らがいつもお祈りしている方向にはメッカがある。メッカはイスラム教徒にとって一度は巡礼に行きたい憧れの場所。
彼らは一生に一度はメッカを訪れたいと考えているようだ。しかしメッカはとても遠い。メッカに行くには長く過酷な旅をしなくてはならない。
だから皆旅人を見ると世話をするのだと言う。


僕らバックパッカーは人それぞれ目的地が違う。メッカに巡礼に行く人は少ないと思う。
でもパキスタン人は全ての旅人にとても優しい。僕はその温かさを自分の肌で感じたのだ。
旅行中に出会った旅人から「今まで行った国でどこが良かった?」と聞かれる事が多々あった。
そんな時僕はいつも決まって「パキスタンです」と答えている。
パキスタン人の温かさとミントの香りがまだ僕の脳裏から離れないのだ。


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